予防接種
予防接種(ワクチン)って?
赤ちゃんは、母体からさまざまな免疫を引き継いで生まれてきますが、その後は徐々に減っていき、母からもらった血液の中の抗体は乳児期後半頃にはおおむねなくなっていきます。
体を感染症から守る免疫力は、血液の中の抗体だけではありませんが、この時期くらいからさまざまな感染症にかかるようになります。
大部分の感染症は、多くのこどもたちにとっては重大なものではなく、くり返しかかるうちに、自分の体が免疫力をつけてくれます。
しかし、一部の感染症では、重い合併症をきたしたり、命に関わることがあり、この不幸な出来事を減らす目的で作られているのが、ワクチンです。
ただ、ワクチンも薬の一種ですので、私たちにとってよくない反応(副反応)がおこることもありますので、接種後は注意してみていく必要があります。
現行のワクチンは、この副反応のデメリットよりも、接種する事でのメリットが大きいと認められているものですので、ほとんどのお子さんはスケジュール通りにやっていくことをおすすめします。
赤ちゃんが重大な感染症にかかる前に安全に免疫をつけるために、ワクチンのスケジュールはさまざまな工夫がされています。
なるべくスケジュール通りに接種することで、何種類もの重大な感染症への免疫力を効率よく、かつ安全につけていくことができます。
生後2ヵ月から1歳頃までは、1回に複数個のワクチンを毎月のように打つのはそのためなのです。
ときどき、ワクチンを打つより、自然にかかったほうが強い免疫ができるからその方がよいのでは?と言う質問を受けることがあります。
ワクチンはそもそも、かかってしまうと一部のこどもたちに、重大な合併症や命の危険をおこす病気にかかりにくくすることが目的ですので、自然にかかった方が免疫がついてよいと言うことはないことが分かると思います。
ワクチンに限らずですが、こどもたちにとってベターな選択ができるように、一緒に考えていけるとよいですね。
定期接種と任意接種?
小児のワクチンには、定期接種のものと任意接種のものがあります。
定期接種は、予防接種法に基づいて接種が推奨されているもので、公費でできます。
一方の任意接種は、自分たちが接種を希望した場合に、自費で行うものです。
【くまクリ】では定期接種に加えて、任意接種のワクチンも含めて、現状でお子さんにメリットが大きいと考えているものをおすすめしていきます。
基本的には、小児科学会の推奨スケジュールに基づいてその都度説明して、接種もれのないように行っていきますが、一部、定期接種で推奨されているものではなく、任意接種で別のワクチンをおすすめすることもあります。
例えば、9~11歳で定期接種するDT(2種混合)を、任意接種のDPT(3種混合)に変更するなどです。このような場合も、おすすめする理由をご説明しますので、検討していきましょう。
また、ワクチンの中には、地域の流行状況や、転居、海外渡航などによって変則的な接種が必要になることもありますので、一緒に計画を立てていきましょう。
例えば、流山地域では、日本脳炎ワクチンは3歳ではなく、生後6ヵ月からの前倒し接種をおすすめしています。
これは、以前は西日本までしか日本脳炎は発症がほとんどなかったのですが、温暖化の影響もあって北上しており、近年では近隣の松戸で小児の患者が報告されるなど、感染のリスクが出ているからです。
スケジュールから外れてしまって、どのワクチンをいつ打ったらよいのか分からない、という場合もよくありますが、その時点から再度スケジュールを立てればよいので大丈夫です。遠慮せずにお声がけください。
また、定期接種や任意接種のスケジュールにないものの、海外では有効性や安全性が認められており、日本での接種も認められている一部のワクチンについても接種を行っています。
例えば、9価HPVワクチンのシルガード9®️(2022年3月時点)などがあります。
ワクチンではありませんが、RSウイルスに対する抗体注射のシナジス®️も、適応の可否が分かる診療情報提供書をお持ちいただければ接種可能ですので、ご相談ください。
一般的なワクチンは以下の通りです。
小児の定期予防接種(公費)
ワクチンの種類 | 予防できる病気 | 定期接種が推奨されている 期間と回数 |
---|---|---|
ロタウイルスワクチン 【生ワクチン】(1価(ロタリックス)もしくは5価(ロタテック)のどちらかを選択) |
感染性胃腸炎 | 生後6週から接種可能(接種の推奨は生後8週より)。1価を選択した場合は計2回(生後24週までに接種を終了)、5価を選択した場合は計3回(生後32週までに接種を終了)を接種。 |
B型肝炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
B型肝炎 | 生後2~4ヵ月未満の間に2回、7~9ヵ月未満の間に1回の計3回を接種。 |
ヒブワクチン(Hib) 【不活化ワクチン】 |
ヒブ感染症(細菌性髄膜炎など) | 生後2~5ヵ月未満の間に3回と、生後12~15ヵ月未満の間に1回の計4回を接種。 |
小児用肺炎球菌ワクチン 【不活化ワクチン】 |
肺炎球菌による感染症(細菌性髄膜炎 など) | 生後2~5ヵ月未満の間に3回、生後12~15ヵ月未満の間に1回の計4回を接種。 |
四種混合(DPT-IPV)ワクチン 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ | 生後3ヵ月~6ヵ月未満の間に3回、生後12ヵ月~18ヵ月未満の間に1回の計4回を接種。 |
BCGワクチン 【生ワクチン】 |
結核 | 生後5ヵ月~8ヵ月未満の間に計1回の接種。 |
MR(麻疹・風疹混合)ワクチン 【生ワクチン】 |
麻疹(はしか)、風疹 | 1歳~2歳未満の間に1回、小学校就学1年前の間(幼稚園や保育所での年長児)に1回の計2回の接種。 |
水痘ワクチン 【生ワクチン】 |
水痘(水ぼうそう) | 1歳~1歳3ヵ月未満の間に1回、1回目の接種から半年~1年程度の間隔を空けて1回の計2回の接種。 |
日本脳炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
日本脳炎 | 3歳~4歳未満の間に2回、さらに2回目の接種後に1年程度間隔を空けて1回、その後9~13歳未満の間に1回の計4回の接種。 |
二種混合ワクチン 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、破傷風 | 11~13歳未満の間に計1回の接種。 |
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン 【不活化ワクチン】 |
子宮頸がん | 主に中学1年生の女子が対象。使用するワクチンは2種類(2価、4価)で、どちらかを選択し、いずれも計3回の接種。2価では初回の接種から1ヵ月の間隔を空けて2回目、初回から半年の間隔を空けて3回目を接種。4価では初回の接種から2ヵ月の間隔を空けて2回目、初回から半年の間隔を空けて3回目を接種。 |
※定期接種が可能とされる期間に接種できず、その後に接種するという場合は、任意接種扱い(全額自己負担)になります。
小児の任意予防接種(自己負担)の例
ワクチンの種類 | 予防できる病気 | 接種の推奨期間と回数 |
---|---|---|
おたふくかぜワクチン 【生ワクチン】 |
おたふくかぜ | 1歳から接種可能、その後おたふくかぜを罹患していなければ、接種後3年前後で2回目を接種。 |
三種混合ワクチン 【不活化ワクチン】 |
ジフテリア、百日咳、破傷風 | 5歳から11歳未満の間に百日咳の感染予防目的として同ワクチンを接種することもある。また11~13歳未満の間に海外では三種混合ワクチンを受けるのが一般的である。 |
ポリオワクチン 【不活化ワクチン】 |
ポリオ | 海外では、4歳を過ぎてから同ワクチンを受けるのが一般的である。 |
A型肝炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
A型肝炎 | 計3回で、1歳から接種可能。1回目の接種後に2~4週間の間隔を空けて2回目、さらに約半年後に3回目を接種する。 |
髄膜炎菌ワクチン 【不活化ワクチン】 |
髄膜炎菌感染症 | 計1回。2~55歳までの間に接種する。 |
※任意予防接種の中にはインフルエンザワクチンもありますが、これは1回の接種による持続効果期間が5ヵ月ほど、また流行する(インフルエンザの)型というのが毎年異なります。
そのため定期的に予防するのであれば、毎年流行する時期の前にインフルエンザワクチンを受ける必要があります(例年は10月頃から開始)。
なお13歳未満のお子さまは、計2回の接種が必要で、2回目を受ける場合は、1回目の接種後から2~4週間の間隔を空けてください。
- 診療内容
- 小児科一般、健診・ワクチン、食物アレルギー、喘息・アトピー性皮膚炎、舌下免疫療法、発達・思春期相談、てんかん・けいれん、チック・吃音
- 院 長
- 熊谷 勇治
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